大正7年、糠平はエゾマツやトドマツが生い茂る大原始林でした。

そんな山の奥地に卵がゆでられるくらい熱く、優良なお湯が湧いているという話を聞き調査に踏み切ったのは、現湯元館館主からさかのぼること3代、島隆美翁でした。

翌8年3月、甥と連れ立って大自然の中へと馬を進めました。深く降り積もった雪や創造を絶する断崖絶壁が2人の行く手に立ちはだかりました。これ以上は馬さえ入れないと馬を造材小屋に頼み、2人は輪かんじきを履き、さらに奥へと進んだのです。

その日は密林の中で寝ることにしました。翌朝、朝食をすませ出発すると、さほど歩かない所に木が生えずにヨシが生えている小さな沢に出ました。そこは湯煙が立ちのぼり、まさに温泉でした。しかし聞いていた話とは位置やお湯の量が違うようだったので、日があるうちにと手落ちなく探検を続けたところ、そこより百四、五十間(約270m)西の方に湯元を発見したのです。

後に人読んで滝の湯(別名湯の元)の発見でした。この日から現在へと続くぬかびら源泉郷の歴史が始まったのです。